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「ボーダーライン」制作追体験 -詞・曲編-

初めまして、Ōudon(おおうどん)です。 先日投稿された「ボーダーライン」ご視聴いただけましたでしょうか。


曲・動画の制作の流れや担当箇所を開示し、皆様に制作の追体験をしていただこうと思います。

Ōudonでは、1人が作った下地をみんなで好き放題こねくりまわして、下地を作った人が責任を持ってまとめるという方針を取っています。

※今回はとーずが責任者

我々はそれぞれ使用するDAW(※1)が異なるので、Satellite Sessions(※2)というプラグインを使用して共同制作を行いました。 ※1 DAW…音楽制作ソフトの総称。Digital Audio Workstationの略。 ※2 Satelite Sessions…これ導入したらみんなで一緒に同時に作曲できるよ〜ってやつ。

とーず


メロディとコードを打ち込む。

とーず

 

「【構成】(暫定)

サビ始まり→間奏→A→サビ→B→2A→2サビ→間奏→ラスサビ→後奏 」

(各々がベースやドラム、シンセ、様々な楽器を付け足していく。)

お柴鉱脈

「Aメロ後半から急にハーフになったらおもしろいなと思ってウッドベース入れた♪」




駱駝法師

「じゃ俺ドラムとかサンプルまわりやるわ」



(その他諸々)

appy


「サビの歌詞だけ考えてみました♪」

味わわなくていいのになぁ
苦いばかりで舌が馬鹿になって
思い出せない言葉も
泣きながら離せなかった
いちいいず



身体はまだ動くの!
絡まった糸を解くように
溜まったゴミを捨てたら
証拠は全部
真島ゆろ



砂をつけた 靴が
若気を守っている
至らないことさえ
それで よかった
駱駝法師


「イントロ」

くしゃみして 廃墟にひとり
ハリボテの塔は靄の向こう側
どこまで歩き続けよう?
足音がコンクリを跳んだ

仁科みしま

「Aメロ高音いるかなと思って4小節だけ案ぶちこんだので何もなければ拡張しまうs」

Sohbana


「これの続き書いていいの? 誰かが書いてる途中だったりしない?」


いちいいず


「早い者勝ちだよ」


Sohbana



変わらない また一苦労
絡まった意図をいな(す)ように
毛ばんだ筆で線を引いて
こっから外部

いちいいず

「ゴミ捨ての音入れた」「ベース入れた」「声入れた」


真島ゆろ


「溜まったゴミを捨てたら "これで"証拠は全部 って足したらどう?」

appy


「歌詞の意図を説明するとかしたほうがいいかな 」

真島ゆろ


「少なくともŌudon内で意味の共有はできてたほうがいいかも」

(各々の歌詞解説………)

お柴鉱脈

「ボーイのがかなり引いたカメラになってるけど いちいずappyは近め というか主観っぽいので ボーイappyを入れ替えたらサビでスッてひらけた感じになる気がする」

いちいいず

「Aで何やってるか描写してサビでやっと背景が映って全景がわかるかんじ 靴に砂がつきそうだし」

真島ゆろ


「初手で"ばかり" "馬鹿に"のくりかえしがあった方がインパクトとしても良い」


真島ゆろ

「歌詞のイメージ揃ってない感じがするけど、みんなどう?自分は、現実くさくて、部屋に一人の俺って感じなんだけど」


appy


「そうね 現実の感じ」


駱駝法師


「少女〇末旅行みたいなの想定してた」


いちいいず

「前段階で現実の感じにしといてサビで少女終〇旅行みたいな背景が描かれる(精神世界だとしても)のは結構面白いと思う」


appy


「 "溜まったゴミ"があまりにも現実すぎる」


いちいいず

「(駱駝法師パートを)サビに持っていたっとして」


appy

「そうね 順番かも」


いちいいず

「コンクリのとこだけもうちょっと抽象的にしたら、バランス取れるきがするけどどう」


駱駝法師

「足音が空気中を跳んだ、とか どすか!?」


いちいいず

「よさそう」


真島ゆろ

「間から裸足の僕ら どう?」


appy

「裸足いいな 足音→靴が外すぎるかもね」

「靴箱の靴っぽくない?履いてる最中に砂ついてるな~って思わない」


いちいいず


「そうね あ〜」


appy


「"砂のついた靴"なら どう」


真島ゆろ

「"砂のついた靴が 若気を守っていた" 過去形にしたら どう」 「appyボーイの部分は入れ替えるんだっけ?」


いちいいず

「いれかえていい?」


真島ゆろ

「初手ハリボテとか廃墟だと共感の一歩踏み込みにくいから、身近なappyパートが先に来てくれたら嬉しい」

駱駝法師


「そうね」


appy

「いいよ」


駱駝法師

「修正版ね」

くしゃみして 廃墟にひとり
憧れはまだ靄の向こう側
どこまで歩き続けよう?
凪いだ空 裸足の僕ら
appy

「凪いだ風いいね」

「複数形にする?」

駱駝法師


「裸足の僕だ、のほうがいいかな」


真島ゆろ


「裸足のまんま」


駱駝法師


「一人称を歌詞中に一切登場させないというやり方もあり」


appy


「なんとなく女を想像してて、でも自分に向かって言ってる雰囲気もあり」


真島ゆろ

「女、いないけどなあ 一人称伏せた方がまとまりそうだな」


とーず


「タイトル決定:ボーダーライン


Sohbana


「"こっから外部"なタイトルだ」


とーず


「そう 決め手になった」

「(部屋の)内と外、自分と他人みたいなことがずっと一貫してたから」



(最後の歌詞は[お柴鉱脈][とーず]が考え、[とーず]がまとめることに………)


お柴鉱脈



引きずる甘い言葉も
薬にはならなくて 捨てたなら
ままならない空白で
塞いだ部屋 裸足のまんま
とーず


「え よくね?」

真島ゆろ

「ウクレレ入れた」


とーず


「おしばの歌詞、ほかに比べたら"詩"でその乖離がちょっと怖い」

とーず


「現状歌詞」

味わわなくていいのにな
苦いばかりで舌が馬鹿になって
思い出せない言葉も
掴んだまま涙流した

身体はまだ動くの!
絡まった糸を解くように
溜まったゴミを捨てたら
これで証拠は全部

くしゃみして廃墟にひとり
憧れはまだ靄の向こう側
どこまで歩き続けよう
凪いだ空 裸足のまんま

砂のついた靴が
若気を守っていた
至らないことさえ
それでよかった

変わらない また一苦労
絡まった意図をいなすように
毛ばんだ筆で線を引いて
こっから外部

引きずる甘い言葉も
薬にはならなくて 捨てたなら
ままならない空白で
塞いだ部屋 裸足のまんま
真島ゆろ

「捨てた"なら"がわかりにくい」 「すてたなら→もういいよね、もう大丈夫だよね みたいな意味が続いて欲しい(のに続かない)」

とーず

「詩すぎるなってそういうこと そこが懸念点」


お柴鉱脈

「そうなの?」

とーず


「決定的に他と違うなって おれもわりとそっち(お柴)側」

お柴鉱脈


「そうだったんだ」

とーず

「だから、ラストでそっちに行くことでなんとかなるのか、それとも、そもそも手直しした方がいいのか悩んで」


真島ゆろ

「今までの詩的じゃない表現からの落差がきついな」


とーず


「それが心配だった」


真島ゆろ

「事前にその匂いがすこしでもあれば 詩的でもいい」


とーず


「でもおれの好みっておしばの現歌詞なんだよな しかも、圧倒的に」


真島ゆろ

「気休めになる思い出でさえ、問題解決してくれるわけではない余計なものなので、それも捨てたい。捨てられたら、今度は何も無くなっちゃって、空白になって、その空白で埋まった部屋の中 裸足のまんま」


お柴鉱脈

「過密 かも」


真島ゆろ


「意味あってる?」


お柴鉱脈


「うん」

真島ゆろ


「どっかで均したい このバランスを」


とーず


「他のパートに比べて情報量めっちゃ多いよね」


お柴鉱脈


「削りの方がバランスとれるかも」


真島ゆろ


「けずるというかこれを、」


お柴鉱脈


「大サビと分担する」

とーず


「なるほど」


真島ゆろ


「そしたら詩的なニュアンスも意味の密度のバランスも取れる」


とーず


「うれしい」



(各々パラデータを提出)



とーず



味わわなくていいのにな
苦いばかりで舌が馬鹿になって
思い出せない言葉も
泣いたまま離せなかった

身体はまだ動くの!
絡まった糸をほどくように
溜まったごみを捨てたら
これで証拠は全部

くしゃみして廃墟にひとり
憧れはまだ靄の向こう側
どこまで歩き続けよう
凪いだ空 裸足のまま

砂のついた靴が
若気を守っていた
至らないことさえ
それでよかった

荒んで また一苦労
絡まった意図を剥がすように
毛ばんだ筆で線を引いて
こっから外部

引きずる甘い言葉も
薬にはならなくて 馬鹿みたいで
ごみを捨てても変わらない
塞いだ部屋 裸足のまま  

すり切れた靴を撫でて
一口だけ冷たい水を飲んだ
ままならない空白に
少しだけ 色づくインク

【補足】

・歌詞変えちゃってたけど「離せなかった」という言葉のニュアンスがやっぱり大事だなと思ったので、自分的に"言葉の持つ音の観点"で納得がいく「泣いたまま離せなかった」に落ち着きました


・「変わらない」が続いちゃうのがキモくて、そしの書いた「変わらない」の重要さがあんまりわかってないのでこっちを消しちゃいました おれの話みたいなこと言ってたし、こなれ感・大人感・そつない感が出ないようにそういう感じにしてみたつもり


・「絡まった意図をいなすように」だと、それまでと比べて大人すぎる・こなれているなと思ったので、「剥がす」という言葉に変えました


・個人的に好む歌詞表記にいくつか変更しました(いいのになぁ→いいのにな 裸足のまんま→裸足のままなど)

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【解説】

引きずる甘い言葉も
薬にはならなくて 馬鹿みたいで
ごみを捨てても変わらない
塞いだ部屋 裸足のまま

おしばの書いた歌詞を、意味をできるだけ変えずに、すこし水で伸ばした感じの歌詞にしたつもり

最初のサビの回収、ごみ捨てパートの回収、凪いだ空との対比が行われている


すり切れた靴を撫でて

→まゆろパートの回収 靴によって足が守られてた、ということを表したくてすり切れさせた


一口だけ冷たい水を飲んだ

→味の話の回収 味リセットするとき水飲むよね


ままならない空白に

→おしばリクエストであり、「甘い言葉」を捨てた結果何にもなくなった現状の比喩


少しだけ 色づくインク

→筆要素回収 創作のことも言えてるし、空白=白紙にゼロから何かを描く、作るということの比喩

前を向くぜ!ってほどじゃない距離感で明るくなっていいんじゃないでしょうか

おおうどんの活動で、小さくてもその先に大きく広がる波紋を起こしたいぜって意味もちょっとあります


appy


「いいね!!!!!!」


いちいいず

「ちんぽ」


駱駝法師

「素晴らしい」


お柴鉱脈

「え!いい!」

真島ゆろ


「かなり良い」

とーず


「やったやったやった♪」

お柴鉱脈

「"甘い言葉"を捨ててるのがわかりづらくなってるというのがあるかも 」

「"ゴミを捨てても"がそれの暗喩になってるということだと思うんだけど」

とーず

「ゴミが、甘い言葉じゃないという風に思われてもいいかな、とも思った」

「前半に出てきてるものの回収ができてるわけだから」

「想定解はおしばの言う通り"甘い言葉"="ゴミ"なんだけど」

お柴鉱脈


「これはこれでいい感じだと思う」


とーず


「そしの書いた素敵歌詞に改変が加わっちゃってるけど、これは許容できる?」


Sohbana


「ぜんぜん許容できる」

とーず


「よしゃ!!!!さんくすさんくす」




〜 制作追体験-動画編-につづく 〜

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